データレポート 02

保育園に申し込むなら、何月か
― 横浜市26か月分のデータで見た「時間」の話

横浜市が公開している保育所等の入所状況を、2024年4月から2026年7月まで26か月分ぜんぶ集めました。約1,200園×3指標×6年齢の時系列です。そこから「いつ申し込むと入りやすいのか」と、「あの園は人気だから」という言い方がどこまで正しいのかを調べました。

2026年9月1日公開 / 横浜・川崎保活マップ 運営者

この記事の内容

  1. 4月と2月では、競争率が28倍ちがう
  2. 「年度途中は入れない」は、事実ではなかった
  3. ただし、入っているのはほぼ0歳児
  4. 空きの3分の1は、翌月には消えている
  5. 「あの園は人気だから」は本当か
  6. 3年で、需給ははっきり改善している
  7. 何月に、何をすればいいのか
  8. このデータで分からなかったこと

はじめに

こんにちは。横浜・川崎保活マップを運営している者です。自分の保活がしんどかったのでこのサイトを作りました。本業ではマーケティングの仕事をしていて、普段からデータを触っています。

前回のレポートでは「場所」の話をしました。区によって5倍の差があるように見えたけれど、実際は横浜18区すべてで0〜2歳の定員が94%以上埋まっていて、差は5.5ポイントしかなかった、という回です。

今回は「時間」です。場所で差がつかないなら、いつ動くかが効いてくるはずだからです。

横浜市は保育所等の入所状況を毎月公開していて、過去分もExcelで残しています。それを2024年4月から2026年7月まで、26か月分すべて集めました。約1,200園について、受入可能数・入所児童数・入所待ち人数が、6つの年齢クラスごとに毎月入っています。3月だけは市が公表していないので欠番です。

調べてみたら、思っていたよりずっとはっきりした周期が出てきました。後半では、保活でよく言われる「あの園は人気だから」という言い方が、どこまで当てはまるのかも見ています。順番に書いていきますね。

1. 4月と2月では、競争率が28倍ちがう

まず「空き1枠あたりに何件の申込があるか」を月ごとに計算しました。0〜2歳の合計です。

空き1枠あたりの申込は、年度末に向けて増え続ける(横浜市・0〜2歳) 縦軸=空き1枠あたりの申込(延べ) 0 50 100 150 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 R6年度 R7年度 R8年度 4月がいちばん入りやすい
横浜市「保育所等の入所状況」より作成。申込は延べ数(1人が複数園に申し込むと重複)

3年とも、ほぼ同じ形をしています。4月がいちばん低く、そこから年度末に向かって上がり続ける。

年度4月7月10月2月
R6年度6.313.745.2179.6
R7年度5.211.933.9139.9
R8年度4.19.1

R6年度でいうと4月の6.3倍から2月の179.6倍へ、28倍になっています。0歳児クラスだけで見ると4月の1.2倍から2月の3,208倍で、桁が3つ変わります。

理由は単純で、枠は年度初めにしか大きく空かないのに、申込は毎月積み上がっていくからです。4月に一斉入所で枠が開き、そのあとは埋まる一方。分子が増えて分母が減るので、比は急激に大きくなります。

ここから言えるのは、「入りやすさ」は園ごとの性質である前に、申し込む時期の関数だということです。同じ園に申し込んでも、4月と2月では全然違う勝負をしていることになります。

年齢によって、カーブの形がまったく違う

ただし、この平均には性格の違うものが混ざっています。年齢別に分けると、3つのまるで違うパターンが出てきました。

R7年度4月7月10月1月2月
0歳児1.28.61651,3042,706
1歳児16.632.056.8141329
2歳児4.44.94.87.510.0
3歳以上0.30.40.30.50.7

0歳児は、4月がとにかく特別です。4月の1.2倍は「空きのほうが申込より多い」状態で、0〜5歳のどこを見てもこれだけです。ところが年度末には2,700倍まで跳ね上がる。同じ0歳児クラスなのに、申し込む時期によってこれだけ違います。

1歳児は、年間を通していちばん厳しい。4月ですでに16.6倍あり、これは0歳児の4月の14倍です。育休明けが集中する年齢なので、当然といえば当然ですが、「4月なら大丈夫」が通用しない唯一の年齢でもあります。

2歳児は、意外にも安定しています。4月4.4倍から2月10.0倍まで、年度内の変動は2倍ちょっと。0歳児の2,000倍超の変動と比べると、ほとんど平らです。小規模保育の卒園にあわせた3歳の受け皿整備が進んだ結果、2歳児クラスに余裕が生まれているのだと思います。

そして3歳以上は、年度末でも1倍を割ります。申込より空きのほうが多いということです。保活が実質的に0〜2歳の話だというのが、ここでもよく分かります。

なぜ4月にだけ枠が大きく空くのか。理由は進級と卒園です。5歳児が卒園して6歳児クラスが消え、全員が1つずつ上がる。この玉突きで、年度の変わり目にだけ各クラスに空きが生まれます。年度の途中では、誰かが引っ越すか退園するかしないと枠は出ません。4月以外に大きな枠が空く仕組みが、そもそもないんですね。

ここは誤解しやすいので、はっきり書いておきます。この「4月1日時点の空き」は、一次・二次の利用調整が終わったあとに残った枠です。4月入園の本番である一次申込は前年の11月に締め切られていて、その選考結果を反映した状態がこの数字です。

つまりこの記事の「4月は6.3倍」は、本命の一次募集そのものの倍率ではなく、そこで決まらなかった枠と人の比を見ています。4月入園を狙うなら本番は前年11月で、この数字はその後に残ったぶんの話です。それでも年度内の推移としては意味があります。5月に動くか2月に動くかで、残っている枠の量が28倍違うのは事実だからです。

2. 「年度途中は入れない」は、事実ではなかった

保活をしていると「年度途中は絶望的」とよく聞きます。僕もそう思っていました。でも在籍児童数の推移を見ると、違う絵が出てきます。

0〜2歳の在籍は、R6年度が4月から2月で+1,607人、R7年度が+1,395人。年度途中に毎年1,400〜1,600人が新しく入っています。「入れない」どころか、けっこうな人数が入っている。

ただし、月ごとに見ると話が変わります。

年度途中に入園している人数(0〜2歳・在籍の前月差) ■ R6年度 ■ R7年度 / 5〜9月に約8割が集中する +361 +319 5月 +257 +257 6月 +282 +250 7月 +236 +232 8月 +257 +183 9月 +148 10月 +110 11月 12月 1月 2月 年明けは退園が上回る
在籍児童数の前月差。プラスが純増、マイナスは退園が入園を上回った月

5月から9月までに、年度途中入園の約8割が終わっています。10月以降は失速し、1月・2月はマイナス、つまり退園が入園を上回ります。

「年度途中は無理」は正確ではなく、「年度の後半は無理」が実態でした。そして年明けの申込がいちばん報われにくい。1章で見た競争率が2月に179倍まで上がるのは、枠が実質ゼロになるからです。

1月・2月がマイナスになる理由も、考えてみれば納得です。この時期に新しく入る人はほとんどいない一方で、転勤や引っ越しで抜ける人は毎月いる。入る人より出る人のほうが多くなる、年度で2つだけの月ということになります。

もし復職の時期をある程度選べるなら、9月までに動けるかどうかで、難しさがかなり変わります。10月以降に動き始めると、その年度はほとんど枠がない状態から探すことになり、結局は翌年4月を待つ形になりがちです。育休の期限もあって選べないことのほうが多いと思いますが、選べる立場なら知っておいて損はないと思います。

3. ただし、入っているのはほぼ0歳児

ここが今回いちばん注意してほしいところです。年度途中の増加を年齢別に分けると、こうなります。

年度(4月→2月)0歳児1歳児2歳児
R6年度+1,201+452-46
R7年度+1,144+361-110

年度途中の増加のほとんどは0歳児です。2歳児にいたっては減っています。

0歳児が増えるのは当然で、4月時点でまだ生まれていない子や、月齢が足りずに申し込めない子が、年度の途中で次々と対象になるからです。枠のほうも0歳児クラスは年度初めに空きが残りやすい。

一方1・2歳児は、4月にほぼ埋まってしまえば、あとは誰かが抜けるのを待つしかありません。

つまり「年度途中でも入れたよ」という体験談の大半は、0歳児の話だということです。1歳・2歳で復職を考えている人が同じ前提で動くと、判断を誤ります。同じ「年度途中入園」でも、年齢によって難易度がまったく違います。

1歳児クラスだけは、事情がちがう

ここまでの3つの話を1歳児にあてはめると、なかなか厳しい状況が見えてきます。

育休が1歳までという制度になっている以上、1歳児クラスに希望が集中するのは自然なことです。ただデータを見るかぎり、1歳児の場合、時期を工夫してどうにかできる余地はあまりありません。4月がほぼすべてで、そこを外すと次の4月まで待つか、0歳のうちに入れておくか、という選択になりがちです。

「0歳で入れておいたほうがいい」というよく聞くアドバイスは、数字の上でもそのとおりでした。ただこれは、育休を早めに切り上げるという家庭側の負担で、足りない部分を埋めているということでもあると思います。

4. 空きの3分の1は、翌月には消えている

では、空きを見つけたらどれくらい急ぐべきか。年度内の連続する月について、「空きがあったクラスが翌月どうなったか」を11,453件数えました。

空きが出たクラスは、翌月どうなっているか 0〜2歳・年度内の連続する月で 11,453件を観測 33.3% 埋まった 13.3% 減った 49.1% 変わらず 3分の1は翌月には消えている
0〜2歳・年度内の連続する月のみ(4月は卒園で不連続になるため除外)

33.3%が翌月には埋まっています。減ったものを合わせると約47%。1歳児にかぎると40.1%が翌月に消えます。

逆に49.1%は変わらないので、「見つけたら即決」というほどではありません。ただ2〜3か月かけて検討していると、半分近くは選択肢から外れていると考えたほうがよさそうです。

そしてもうひとつ。直近11か月のあいだに、それぞれの園で何か月空きがあったかを数えると、こうなりました。

空きがあった月数園数割合
11か月すべて37園3.1%
8〜10か月113園9.4%
4〜7か月355園29.5%
1〜3か月400園33.2%
0か月(一度も空かず)300園24.9%

11か月ずっと空きがあった園が37園ある一方で、一度も空かなかった園が300園(25%)。両端がはっきり立っていて、真ん中もなだらかに分布しています。園によって状況はまったく違う、ように見えます。

ここで気になったことがあります。この差は、本当に「園ごとの差」なんでしょうか。

5. 「あの園は人気だから」は本当か

保活をしていると「あの園は人気だからすぐ埋まる」「あそこはいつも空いてる」という話をよく聞きます。僕も普通に使っていました。

でもよく考えると、これがその園のいつもの状態なのか、それともたまたまその年その地域に希望が集まっただけなのか、区別できていません。3年分のデータがあるので、確かめてみました。

考え方はシンプルです。その園のいつもの状態なら、年が変わっても同じ園が同じような数字になるはず。たまたまなら、翌年にはバラバラになるはずです。

確かめかた1:翌年も同じ数字になるか

園ごとに「その年どれくらい埋まっていたか」を出して、翌年と比べました。0〜2歳の在籍を定員で割った割合(充足率)の1年平均です。3年度そろっている1,151園が対象です。

同じ園は、翌年も同じくらい埋まっているか(園数) 1,151園を埋まり具合で5つに分け、翌年どこへ動いたかを数えたもの R7年度の充足率 → 1 2 3 4 5 R6年度 1 127 55 27 13 9 R6年度 2 56 52 52 43 27 R6年度 3 22 59 59 44 46 R6年度 4 16 34 50 95 35 R6年度 5 10 30 42 35 113 空いている 埋まっている ● 翌年も同じグループ: 446園(39%) まったくの偶然なら20%なので、2倍ちかく当たっている ● 2つ以上ずれた: 319園(28%) とくに真ん中の3行は、行き先がほぼ横並び
園を埋まり具合で5つのグループに分け、翌年どこへ動いたかを数えたもの。数字は園数

翌年との相関は0.52でした(R6とR7、R7とR8がどちらも0.52、R6とR8が0.43)。1に近いほど「毎年同じ」、0に近いほど「まったく関係ない」という数字です。関係はあるけれど、そこまで強くない、という水準です。

図のマス目で見ると、もっとはっきりします。園を埋まり具合で5つのグループに分けて、翌年どこへ動いたかを数えたものです。同じグループに残ったのは446園(39%)。まったくの偶然なら20%になるはずなので、2倍ちかく当たっています。ここは確かに園ごとの性質だと言えそうです。

ただし319園(28%)は2つ以上ずれています。しかも表をよく見ると、翌年も同じなのは上下の端だけだと分かります。

両端の園は翌年も同じ、でも真ん中の園はほとんど運次第。そして横浜の園の多くは、この「真ん中」に入ります。

確かめかた2:どこまでが園で、どこからが偶然か

相関だけだと「関係はある」までしか言えないので、もう少し踏み込んで分けてみます。

やっていることは単純です。園ごとの数字のばらつきには、「園そのもののちがい」「同じ園でも年によって揺れるぶん」の2つが混ざっています。3年分あれば、同じ園の中でどれくらい揺れているかが測れるので、そこから逆算して2つを分けられます。

ばらつきの正体大きさ
園そのもののちがい5.5ポイント
同じ園の、年による揺れ5.0ポイント

ほぼ同じ大きさでした。割合にすると、園そのもののちがいと言えるのは約54%で、残りの約46%は年ごとの揺れということになります。さきほどの相関0.52とも、ほぼ同じ答えです。別のやり方で計算して同じ結果になったので、この数字はそれなりに信用できると思います。

言いかえると、「人気かどうか」で説明できるのは半分くらい。あとの半分は、その年たまたまそうだった、という話です。

確かめかた3:場所を揃えると、差はもっと小さくなる

もうひとつ気になったのが、「園のちがい」と「その場所の事情」を混ぜてしまっていないかです。当サイトでは全部の園を小学校区に紐づけているので、同じ小学校区にある園どうしだけで比べてみました。164の学区(961園)が対象です。

ばらつきの大きさ
全部の園を並べたとき6.3ポイント
同じ小学校区の中だけで比べたとき2.5ポイント

場所を揃えると、ばらつきは40%まで小さくなりました。園ごとの差に見えていたもののうち、6割近くは園ではなく場所の話だったということです。

確かめかた4:そもそも1年分では見分けられない

ここがいちばん大事なところでした。

知りたい差より、1年分では出てしまう幅のほうが大きい 横軸=充足率のポイント数 園ごとの実際の差 ±10.7pt 3年分で見たときの幅 ±5.7pt 1年分で見たときの幅 ±9.8pt 1年分だけでは、園ごとの差は見分けられない
知りたいのは園ごとの差なのに、1年分では出てしまう幅のほうが大きい

同じ園でも年ごとに5.0ポイント動くので、1年だけ見て「この園はこういう園だ」と言おうとすると、±9.8ポイントくらいの幅を持って考えないといけません。ところが園ごとの実際の差は5.5ポイントしかない。測りたい差より、測るときの誤差のほうが大きいんです。

3年分を平均しても幅は±5.7ポイントまでしか縮まりません。その結果、「全体の平均とはっきり違う」と言えたのは1,151園のうち116園、10%だけでした。残りの9割は、データの上では平均的な園と見分けがつきません。

もうひとつの言い方をすると、1年見て「平均より10ポイント空いている」園でも、ふだんの状態としては5.5ポイントくらいと考えるのが妥当です。残りの半分は、翌年には平均のほうへ戻っていきます。

ただ、両端の園ははっきりしている

とはいえ「全部が運」という話ではありません。極端な園は、翌年もちゃんと同じです。

37園がずっと空いていて、300園が一度も空かなかった。この両端は偶然では説明できません。

この結果を、保活にどう使うか

ここまでの話をまとめると、「去年あそこ空いてたらしいよ」という話は、思っているより当てになりません。1年分の数字は、その園のふだんの状態の半分くらいしか表していないからです。

逆に「3年続けて空きがある」なら、これはかなり信頼できます。見るなら1年ではなく、何年か分をまとめて見てください。

それと、空いている園が「選ばれていない園」とはかぎりません。差の6割が立地で説明できるので、多くの場合は駅からの距離や、まわりに子どもがどれくらい住んでいるかの話です。園の中身とは別のことだと思います。

そもそも今回見ているのは埋まっているかどうか、それだけです。保育の中身も、先生の雰囲気も、子どもが楽しく通えるかも、何ひとつ測っていません。空いている園がいい園かどうかは、この数字からは分かりません。見学して自分の目で確かめるしかない部分です。

6. 3年で、需給ははっきり改善している

暗い話ばかりでもありません。4月時点の数字を3年並べると、明確な改善が見えます。

4月時点の申込は、3年で約3割減った(横浜市・0〜2歳) ■ 申込(延べ・左軸) ― 空き1枠あたりの申込(右軸) 11,216 R6年度 4月 9,746 R7年度 4月 7,828 R8年度 4月 6.3倍 5.2倍 4.1倍
各年度4月1日時点。0〜2歳の合計

4月時点の申込は11,216件から7,828件へ、3年で約3割減りました。空き1枠あたりの申込も6.3倍から4.1倍へ。前回のレポートで見た「保留児童が3年で約3割減」という市の発表と、独立した集計で一致しています。

とくに2歳児の改善が大きく、空き1枠あたりの申込はR6年度の9.7倍からR8年度の2.6倍まで下がりました。0〜2歳の定員も33,490人から33,727人へ、園数も1,200から1,222へ増えています。

少子化のペースを需要の伸びが上回っている、というのが前回の結論でしたが、受け皿の整備はそれを追いかけて効いているということになります。

7. 何月に、何をすればいいのか

ここまでの数字から言えることを、実際に使える形でまとめます。

4月入園を本命にする。これはやはり動かせません。競争率が年度内でいちばん低いのが4月で、2月とは28倍違います。

年度途中を狙うなら、5〜9月。年度途中入園の約8割がこの5か月に集中しています。10月以降は急速に細り、年明けは純減に転じます。

1歳・2歳での年度途中入園は、0歳とは別物と考える。年度途中に増えているのはほぼ0歳児です。1・2歳で「途中でもなんとかなる」と考えるのは危険です。

空きを見つけたら、2〜3か月は待たない。3分の1は翌月に消えます。1歳児クラスなら4割です。

単年の口コミを信用しすぎない。1年分の観測では、園の実力の半分しか分かりません。複数年で見るか、立地で説明できないか疑ってください。

調べてみていちばん意外だったのは、保活の難しさが「どの園を選ぶか」より「いつ動くか」でずっと変わるということでした。前回は場所ではほとんど差がつきませんでしたが、時期では28倍の差がついています。園選びに悩む時間を少し削ってでも、動き出す時期を前に倒したほうが、入れる確率は上がりそうです。

8. このデータで分からなかったこと

最後に、今回のデータでは分からなかったことも書いておきます。ここまでの数字が、実際より強い話に読めてしまうと困るので。

「申し込んだ人が入れたかどうか」は分かりません。見ているのは枠と申込の数だけで、個々の家庭の当落は追えません。しかも申込は延べ数なので、「1枠あたり16.6件」が何人の子どもを指すのかも分かりません。1人が5園に申し込んでいれば、実際の競争相手は3人ちょっとということになります。

ランク(利用調整の点数)が分かりません。同じ枠に同じ人数が申し込んでいても、点数が高い人にとっては入りやすく、低い人には入れない枠です。この記事の倍率は、全員が同じ条件で並んでいる前提の数字ではありません。

入れなかった人がどこへ行ったのかも見えません。認可外に行ったのか、育休を延長したのか、幼稚園の預かりを使ったのか、仕事を辞めたのか。市の集計からは追えませんでした。前回のレポートで見た「保留児童」の分類は、この行き先を一部だけ示しています。

川崎市では同じことが調べられませんでした。川崎市が公表しているのは在籍児童数ではなく内定数なので、埋まり具合が計算できません。5章の話はすべて横浜18区の結果です。川崎でも同じことが言えるかは、確かめられていません。

3年分では、まだ足りません。「半分が園そのもの」という割合自体、3年分から計算したものなので幅があります。5年、10年とためていけば、園ごとの差はもっと正確に測れるようになるはずです。裏を返すと、いまの時点で個別の園を評価するには、データが足りていないということでもあります。

それでも、26か月分を並べてみて分かったこともありました。時期によって難しさがこれだけ変わること、そしてそれが毎年くり返されること。この2つは、来年も再来年も使える話だと思います。

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