データレポート 07

川崎市は、申込と内定の
両方を公開している

川崎市の保育所等のPDFを539本集めて、33か月ぶんを数え直しました。川崎市は申請数と内定数の両方を出しているので、「実際に何人が内定したか」を月ごとに追えます。4月一次は内定1件あたり6.2件の申込。3月は307件。同じ市で、同じ年度の話です。

2026年9月1日公開 / 横浜・川崎保活マップ 運営者

この記事の内容

  1. 4月と3月で、50倍ちがう
  2. 4月の中でも、一次と二次で2倍以上
  3. 年齢で、効き方がまるで違う
  4. 年度途中に入るなら、5〜7月
  5. 区によって、2倍ちがう
  6. 園の種類と大きさでも変わる
  7. 3年で、少しずつ入りやすくなっている
  8. 「空き1枠あたり」で見ると、差が消える
  9. それでも、年度途中に2,379人が入っている
  10. まとめと、この数字の限界

はじめに

こんにちは。横浜・川崎保活マップを運営している者です。自分の保活がしんどかったのでこのサイトを作りました。ふだんはマーケティングの仕事をしていて、数字を扱っています。

2本目の記事で、横浜市の26か月ぶんのデータから「4月と2月で28倍ちがう」という話を書きました。今回はその川崎版です。ただ、同じ記事にはなりませんでした。川崎市が出しているデータのほうが、一段踏み込めるものだったからです。

横浜市が公開しているのは「入所待ち人数」です。何人が待っているかは分かりますが、その月に何人が入れたかは分かりません。川崎市は「申請数」と「内定数」の両方を出しています。つまり、実際に何人が入れたかを月ごとに数えられます。

使ったデータ

この違いは大事なので先に書いておきます。この記事に出てくる「内定1件あたり◯件の申込」は、1人あたりの合格率ではありません。申込のほうが延べなので、実際に入れた人の割合はこれより高くなります。それでも月ごとの比較には使えます。分母も分子も、毎月同じ数え方だからです。

4月と3月で、50倍ちがう

内定1件あたり、何件の申込があったか。これを月ごとに並べました。

内定1件あたりの申込は、年度末に向かって増え続ける(川崎市・全年齢)縦軸=内定1件あたりの申込件数(申請は延べ、内定は実人数)02004006004月一次4月二次5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月2024年度2025年度

2年度とも同じ形をしています。4月一次がいちばん低く、そこから年度末に向かって上がり続ける。2025年度でいうと、4月一次の6.2件から3月の307件へ、50倍になっています。

3月に内定したのは、市全体で53人でした。申込は16,249件あります。年度末は、次の4月入園に向けて枠が押さえられていく時期なので、ここで動きが止まるのは構造的なものだと思います。

4月の中でも、一次と二次で2倍以上

ここは横浜市のデータでは出せないところです。川崎市は4月について、一次利用調整と二次利用調整の結果を分けて公開しています。

年度4月 一次4月 二次
2024年度6.5件14.4件2.2倍
2025年度6.2件14.0件2.3倍

内定1件あたりの申込件数。申込は延べ、内定は実人数。

同じ「4月入園」でも、一次と二次で2倍以上ちがいます。二次は一次で埋まらなかった枠を争うことになるので、当然といえば当然なのですが、数字で見ると思ったより差があります。

ここから言えるのは、一次の締切に間に合わせることの価値が、かなり大きいということです。一次の締切は前年の秋から冬にかけてで、育休中だと「まだ先」と感じる時期に来ます。

年齢で、効き方がまるで違う

ここまでは全年齢の合計でした。年齢別に分けると、景色が変わります。

年齢4月一次3月
0歳児4.7件1,904件404倍
1歳児7.3件586件80倍
2歳児8.0件63件8倍
3歳児4.2件34件8倍
4歳児4.8件13件3倍
5歳児3.4件13件4倍

2025年度。数字は内定1件あたりの申込件数。申込は延べ、内定は実人数。

0歳児の差が突出しています。4月一次なら4.7件なのに、3月は1,904件。404倍です。

意外だったのは、4月一次に限れば、0歳児がいちばん入りやすいことでした。0歳児クラスは進級がないので、4月に定員がまるごと空きます。「0歳は激戦」とよく言われますが、それは年度途中の話で、4月一次はむしろ枠が多い。

逆に言うと、0歳児は「4月一次か、ほぼ無理か」の二択に近いということでもあります。年度途中に0歳で入るのは、この数字を見るかぎりかなり厳しいです。

年度途中に入るなら、5〜7月

「4月がいちばん」は分かったとして、事情があって年度途中に申し込む人もいます。その場合、いつがましなのかを見ました。

年度途中の内定を、月と年齢のマス目に並べたのがこれです。

5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
0歳児14412913511311191522221106
1歳児884839334145292535176
2歳児7249424341484140252012
3歳児794526352734242020148
4歳児5122241228231620151316
5歳児381613121711114525

2025年度。数字は内定数(新規の入所予定者数)。緑=60人以上、灰=15人未満。

はっきり出ています。年度途中の内定2,379人のうち、1,060人(45%)が5〜7月に集中しています。年度の最初の3か月で、途中入園のほぼ半分が決まっている計算です。

理由はおそらく2つあって、1つは4月に内定した人の辞退が回ってくること。もう1つはこの時期はまだ空き枠が残っていることです。前の章のグラフのとおり、枠は年度末に向かって減り続けます。

0歳児で見ると、5月144人・6月129人・7月135人に対して、2月10人・3月6人。同じ「年度途中」でも、前半と後半で別物です。

逆に4歳児・5歳児は、どの月もあまり変わりません。もともと動く人数が少ないので、時期を選ぶ意味は0〜2歳ほど大きくないようです。

区によって、2倍ちがう

川崎市は7区あります。同じ4月一次でも、区によって結果が違いました。

区によって、2倍ちがう(川崎市・2025年4月一次)内定1件あたりの申込件数。短いほど入りやすい川崎区4.4件麻生区4.7件高津区5.3件宮前区5.6件幸区6.4件中原区7.0件多摩区8.2件

いちばん入りやすいのが川崎区の4.4件、いちばん厳しいのが多摩区の8.2件。約2倍の差です。

申込の絶対数がいちばん多いのは中原区で、4月一次だけで10,501件ありました。武蔵小杉の周辺にマンションが増えた影響が出ているのだと思います。ただ中原区は枠も市内最多(2,019)なので、比率で見ると真ん中より少し厳しい程度に収まっています。

注意したいのは、これは「区を選べば楽になる」という話ではないことです。住む場所は仕事や家賃で決まりますし、区をまたいで申し込むこともできます。ここで見えているのは、同じ市の中でも状況が一様ではないという事実のほうです。横浜市の記事(3本目)でも、区による差は思ったほど大きくないという結果でしたが、川崎は7区しかないぶん、区ごとの色がはっきり出ています。

園の種類と大きさでも変わる

次に、園の側で分けてみました。まず施設の種類です。

施設の種類別(2025年4月一次)内定1件あたりの申込件数。短いほど入りやすい認定こども園2.3件事業所内3.5件小規模・家庭的5.5件認可保育所6.4件

認定こども園が2.3件で、突出して入りやすいという結果でした。認可保育所の6.4件と比べると3倍近い差があります。

ただしこれは数が少ないので、そのまま鵜呑みにしないでください。川崎市の認定こども園は4月一次の枠が444しかなく、市全体のごく一部です。園によって事情もかなり違うはずです。

「小規模保育のほうが入りやすい」ともよく言われますが、この数字では5.5件と、認可保育所の6.4件に対してわずかに入りやすい程度でした。思っていたほどの差ではありません。

もう1つ、定員の大きさでも分けました。

定員の大きさ別(2025年4月一次)内定1件あたりの申込件数。中くらいの園がいちばん厳しい19人以下4.9件20〜59人6.2件60〜89人7.5件90人以上5.1件

これは予想と違いました。いちばん厳しいのは60〜89人の中くらいの園で、7.5件。19人以下の小さい園(4.9件)と、90人以上の大きい園(5.1件)は、どちらもそれより入りやすい。

大きい園が入りやすいのは枠の数で説明がつきます。小さい園が入りやすいのは、2歳までしか預けられないぶん申込が絞られるからだと思います。中くらいの園は「6歳まで通える」うえに「駅前の大規模園ほど目立たない」ので、狙い目に見えて実は競争が濃いのかもしれません。ここは数字から言えることを超えるので、推測として書いておきます。

3年で、少しずつ入りやすくなっている

ここまでは1年度ぶんの話でした。4月一次を3年並べると、別の動きが見えます。

一次利用調整申込内定空き枠内定1件あたりの申込
2024年4月45,9627,0638,1056.5件
2025年4月44,7917,2638,6026.2件
2026年4月43,2157,3638,6475.9件

申込は延べ申請、内定は新規の入所予定者数。

申込は3年で6.0%減り、内定は4.2%増えています。枠も6.7%増えました。結果として、内定1件あたりの申込は6.5件から5.9件に下がっています。

3年ぶんなので断定はできませんが、方向としては入りやすくなっていると言ってよさそうです。子どもの数が減る一方で、園の整備は続いているためだと思われます。

これは保活をしている当事者にとって、あまり慰めにならない話かもしれません。いま申し込む人にとっては、いまの倍率がすべてだからです。ただ、上の子のときと下の子のときで体感が違う、という声には説明がつくかもしれません。

「空き1枠あたり」で見ると、差が消える

ここは、書くかどうか迷ったところです。

横浜版の記事では「空き1枠あたりの申込」という指標を使いました。同じものさしを川崎に当てると、こうなります。

「空き1枠あたり」で見ると、差はほとんど見えなくなる(川崎市・2025年度)同じ月を2つのものさしで見たもの。棒の高さはそれぞれの最大値を基準にそろえている65.24月一次273.77月436.610月30723.93月内定1件あたりの申込空き1枠あたりの申込

4月一次5.2に対して3月23.9。5倍にしかなりません。内定で見たときの50倍とは、まるで違う結論になります。

なぜこうなるかというと、年度末は分母の「空き枠」も一緒に減っていくからです。申込が増えても、枠も減るので、割り算の結果はあまり動きません。

つまり「空き1枠あたりの申込」はその月の混み具合を表す数字であって、入れるかどうかを表す数字ではありませんでした。川崎のデータで両方を計算できたので、それがはっきり分かりました。

横浜版の28倍という数字自体は間違っていません。横浜市は入所待ち人数しか公開していないので、あの指標を使うしかなかったからです。ただ2つの市の数字を並べて「川崎のほうが差が小さい」と読むのは間違いです。ものさしが違います。

それでも、年度途中に2,379人が入っている

ここまで年度途中の厳しさを書いてきましたが、ゼロではありません。

年度4月(一次+二次)5月〜翌3月年度途中の割合
2024年度8,078人2,354人23%
2025年度8,189人2,379人23%

内定数(新規の入所予定者数)の合計。

毎年2,300人以上が年度途中に入っています。全体の約2割です。競争率は高いですが、動いてはいます。

年度途中に入った人を年齢で分けると、いちばん多いのは0歳児で834人(35%)でした。0歳児は年度の途中でも入園の対象になる月齢の子が増えていくので、枠も動きます。

まとめと、この数字の限界

時期の話

誰が、どこに申し込むか

大きな流れ

最後に、この数字でできないことを書いておきます。

それでも、申し込む時期は自分で選べる数少ないものの1つです。点数は簡単には変えられませんが、いつ申し込むかは決められます。この記事がその判断の材料になればうれしいです。

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